小嶌 久美子さんに話を聞きました。コワーキングスペースの研究をしたり、東京と京都の二拠点生活したり、旅館のリブランディングをしたり、お坊さんの法話の研修の講師をしたり、一言では語れない小嶌さん。
忙しい毎日に、足を止めて、「大事なことってなんだろう」って考えたくなるインタヴューになりました。
1983年京都生まれ、横浜&イギリス育ち。東京・京都の二拠点生活者。各種新規事業や行政の施策策定のリサーチや企画、プロジェクトマネジメントを行う。大学院は都市交通研。人の動線や興味関心の動きを視るのが好き。一次情報から考えることが好き。インタビューが好き。街歩きが好き。
1987年埼玉県生まれ。The U 編集長。イラストレーター。1月15日から原宿の「ビオ オジヤン カフェ」で個展やってます。1年半海外を旅してた。
どうなる?400万円プロジェクト
小嶌
ここのコワーキングスペース(渋谷にあるPoTAL)の運営元が「ひつじ不動産」っていうシェアハウスのポータルサイトを運営している会社で、リサーチを募集していて。社長と会ってお話したら、「いいよ、手伝って」って。「いくらほしいの?」って言われて、「この仕事だったら、いくらです」「じゃあ、いいよ」って。
「あともう一つお願いがあるんです。4月からの1ヶ月間京都にいるので、リモートワークに挑戦させてもらえませんか?」「いいよ」って。
マスダ
ああ、京都にいたときは、リモートワークもやっていたんですね。
小嶌
データを分析する仕事だったので、何がわかったかとか、どういうことを考えたとか、京都からテレビ会議もやってた。
マスダ
4つの団体に声かけて、他の3つはどうだったんですか?
小嶌
4つとも内定もらったんです。
マスダ
えっ、4つも(笑)。
小嶌
4つも掛け持ちできないから、ひとつ断って。
マスダ
他の2つはどんなことをやってたんですか?
小嶌
1つはベンチャーの営業代行で、もう1つはコンサルティングですね。
マスダ
日で区切れないこともあるかもしれないですけど、感覚的には週1、週2、週2のような働き方を?
小嶌
まあ、そんな感じですね。
マスダ
それぞれの団体が求めていたのは、週5日で働いてもらうものじゃなかったんですね。
小嶌
ぜんぜん。ベンチャーの会社って人を抱えることってリスクになるじゃないですか。
マスダ
なるほど、なるほど。
小嶌
「週2日で営業代行します」っていうのは、都合がいいはずで。わたしは長期間働きたい、安定したいっていう願望がなかったので契約をだいたい3ヶ月とか半年にしていて、ベンチャーだったり事業成長している会社って短期間で状況が変わることもありえるから、お互いにとってちょうどよかったです。
マスダ
400万円使い切ろうと思ってるのに、そんなに働いたらお金入ってきますよね。
小嶌
入ります、入ります。お金がどんどん入ってきて、やばいお金が減らないって(笑)。
マスダ
すごいなあ(笑)。
京都、おもしろいですよ
小嶌
400万円ぜんぜん減らないから、京都に移住してみようって。
京都で1ヶ月間滞在したときに、「あれっ、京都に住めるぞ」って思ったんです。1ヶ月間で人間関係がどんどん広がって、晩御飯をひとりで食べる日がほとんどなかったんですよ。「京都に移住してみて、何が起きるか」を実験してみようと思って、その年の10月末から移住をはじめてみた。
マスダ
京都に住みはじめて自分のなかで変わったことはありますか?
小嶌
価値観変わりましたねー。大きく言うと2つあって、1つは年収にこだわならなくなった。東京にいると、年収が低いとなんとなく劣等感あったり、年収や、権威、会社の名前など、みんな同じモノサシの上で測りあってる感じがしたけど、京都にいると、けっこう関係ないなあって。
マスダ
それぞれが、違うモノサシを持ってる。
小嶌
お付き合いのある人間関係からは個人事業主とか自営業とかが多いこともあるんだろうけど、人を測るモノサシが多様で。年収は東京に比べて低いけど、けっこう幸せなんじゃないかなあって思ったり。
マスダ
うーん。
小嶌
もう1つは、人間関係。京都のほうが家族みたいな、血の繋がっていない親戚みたいな人たちがけっこういて。お店の人とも友だちになることが多いから、カフェに行くにしても「◯◯さんに会いたいから、あそこの店に行こう」って。
自分の意志で自分の事業をつくっている人たちとの人間関係がすごい広がって。どちらかと言えば東京って、人に言われて仕事してるとか、この会社だからこの仕事してる人が多くて、主体性を他に委ねてる人のほうが多い気がして。
たまたまなのかもしれないけど、京都は、自分が若い人に着物を着てほしいから着物屋さんをやってたり。自分がスナックやりたいからやるとか。自分が伝統工芸を広めたいからECサイトやったりとか。自分を主語にして仕事をしている人が多くて。そう人が多いから、会話していて、たのしい。
マスダ
へえ、それを聞くと京都へ行きたくなりますね。
小嶌
いやあ、おもしろいですよ。行くにしても、京都の友だちとか人間関係があるとぜんぜん人の見せる側面が変わるから。観光もいいですけど、京都の人と一緒にコトとかモノを見てほしい。
マスダ
京都では、いろんな巡り会いがあったんでしょうね。
小嶌
いろんな仕事があって、おもしろかったのが、浄土真宗のお坊さんたちの法話の研修の講師として呼ばれました。
マスダ
法話って何ですか?
小嶌
法話っていうのは、お坊さんがお葬式のときなどにありがたいお話をしますよね。浄土真宗はどんな考え方で、あなたを癒してくれますっていうお話が法話っていうんですよ。
その話を訓練するというか、磨く学校があって、そこの発表会の審査員になったり、「法話のコンサルしてください」と言ってもらえたり。
マスダ
へえー、法話のコンサルですか(笑)。
小嶌
起承転結でいうと、ここの盛り上がりが欠けるとか、話の構成としてこれは不自然だとか、ここはメッセージ性がなくて、共感できないとか、フィードバックして。
マスダ
お坊さんに教えを説くなんて、おもしろい仕事ですね。それも、人間関係の中で「やってみない?」って。
小嶌
そうそうそうそう。
マスダ
久美子さんは、その道のスペシャリストってわけではないですよね?
小嶌
わたしは、それのスペシャルストってわけではないですね。人の多い東京だったら肩書きを気にするかもしれないけど、京都は人間関係の中で信頼があれば、けっこうお仕事くれちゃったり。
肩書きがなくても「これができる久美子さんだったら、法話の仕事もできるんじゃない?」って提案があったり。
だから着物屋のおじちゃんに、「うちの着物売れへんねんけど、どうしたらいい?」って相談でランチ呼び出されるとか。
マスダ
カジュアルに仕事がはじまっていくんですね。
小嶌
なにか思いついたら提案しようって、寝かしてる案件もいくつかあったり。
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