かわいいに敬意はいらない。

かわいいに敬意はいらない。

「かわいいです」と書いてみて、違和感があった。「かわいい」に「です」をつける違和感だ。

考えてみれば、この違和感の正体は、「かわいい」の瞬発力にある。想像してほしい、自分が「かわいい」と口に出しているときのことを。

「かわいい」は瞬間的に、そして興奮的に口から飛び出してくることば。その対象を敬うとか余裕のないものなんです。

先日、おじさんのぽっこりお腹を見た二十代の女性たちが、「かわいい」と言っていた。おじさんは女性よりも20以上歳の離れた方だ。言うなれば、敬語で話さないといけない相手だ。

でも、「かわいいですね」なんて言ったら、「かわいい」の熱の鮮度が落ちてしまう。「かわいい」と思った素直な気持ちを届けるには「かわいい」でいいんです。

「かわいい」に「です」はいらない。「かわいい」に「敬意」はいらない。だから、「かわいい」ってことばはいいんだ。思えば、「おもしろい」もそうだよなあ。

読んでくれて、ありがとうございます。

「かわいい」って、書くことで鮮度も落ちちゃうね。

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マスダヒロシ
マスダヒロシ

The U 編集長/グラフィックデザイナー/イラストレーター 1987年埼玉県生まれ。2017年から1年半世界76カ国を旅をして、当たり前は時代と場所でひょいっと変わることを知る。イラストのご依頼お待ちしております。Instagram @hiroshimasud