そこにないから見えるもの。 アルミネ 前半

そこにないから見えるもの。 アルミネ 前半

アルメニア人のアルミネちゃん。アルミネという名前は「アルメニアの女の子」という意味だ。しかし、「女の子」という軽やかでかよわいイメージとは異なり、アルミネちゃんの言葉は重くて、強い。

「人生は、どう考えたっておもしろい」「自分に嘘をつかないこと。自分に嘘をついて、未来の自分が『あのとき、ああすればよかった』なんて言ったら、わたしクレイジーになる」「目は無料だ」2年前に旅しているときに出合った彼女の言葉やエネルギーは今でも身体に残っている。

そんなアルミネちゃんが日本に来ているということで、インタヴューをしました。全2回の前半です。


AIT研究所の研究助手。2011年からアルメニア国際ロボティクスチームのバイオエンジニアとプログラマー。


1987年埼玉県生まれ。1年半海外を旅したあとに「The U」をはじめる。グラフィックデザイナー・イラストレーター。Instagram @hiroshimasud 

今は5つのことをやってます

マスダ
アルミネちゃん、久しぶり。アルメニアで会ったのは2年前でしたね。

アルミネ
マスダさん、久しぶりです。はい、また会えてうれしいです。

マスダ
最近はどんなことをしてるんですか?

アルミネ
この前は、自宅の実験室でドローンをつくってて爆発させてしまいました(笑)。

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マスダ
あいかわらず、おもしろいことやってますね。2年前に会ったときはお父さんに本を買ってたけど、その理由を聞いたらお父さんの本を燃やしちゃったって言ってたよね。

アルミネ
はい、自宅の実験室で火を使うのに、まわりに燃やせる紙がなくて、つい(笑)。

マスダ
さすがです(笑)。他はどんなことをやってるんですか?

アルミネ
今は5つのことをやってます。1つはカリフォルニアの大学とAI(人工知能)の研究をやってます。2つめはですね、ベトナム人チームのプログラミングリーダーをやってます。3つめはロシアのモスクワの会社とハッキングですね。

マスダ
えっ、あのハッキング?

アルミネ
お母さんにも「犯罪者なの?」って言われました(笑)。ハッキングはシステムやネットワークにアクセスすることで、みんながイメージする「わるいハッキング」はクラッキングと言いますね。

マスダ
それはよかった(笑)。4つめは?

アルミネ
日本とアルメニアをつなぐお手伝いをしています。姉妹都市をつくるプロジェクトをやったり、アルメニアの病気の子どもたちがつくった千羽鶴を日本の病院に届ける活動などです。

5つめは、子どもたちがもっとかんたんに数学が解けるように数学の本を書いてます。それと、たまに日本語を教えています。

ひとりの時間があったからこそ、今は友だちと一緒にいられることがうれしい

マスダ
あいかわらず忙しそうですね。

アルミネ
毎日たのしいです。

マスダ
前も聞いたけど睡眠時間は3時間?

アルミネ
いえ、今は2.5時間です。

マスダ
えーと、0.5時間減ってるね(笑)。

アルミネ
それと、40分の瞑想をしています。

マスダ
その40分あったら、もっと寝たいと思うけど、瞑想は必要ですか?

アルミネ
はい、朝にやると1日の計算のスピードが上がります。わたしは頭の回転がわるくなると家に来るお医者さんに相談しますが、お医者さんはいつも「いや、もっと寝てください」と言います(笑)。ですが、わたしにとっては睡眠よりも瞑想のほうが効果的でした。瞑想をすると頭の回転がよくなります。

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マスダ
どうやら頭の回転を上げる薬はないようですね(笑)。昔から、睡眠時間は短かったんですか?

アルミネ
はい、赤ん坊の頃から。家族は「この子はぜんぜん寝ないので心配です」って病院に連れて行ったみたいです。でも病院の先生は、「この子は大丈夫です」って。

マスダ
それは遺伝でしょうか?

アルミネ
お父さんは猫みたいな人で12時間くらい寝ています(笑)

マスダ
それは長い。アルミネちゃんとお父さんの睡眠時間を足して2で割ったら平均睡眠時間になりますね。子どもの頃、あまり寝ないことで問題はありましたか?

アルミネ
幼稚園では、みんなでお昼寝の時間があったんですけど、それは罰のように感じましたね。

マスダ
お昼寝は一般的には心地いいものでも、アルミネちゃんにとっては不快なものだったんですね。

アルミネ
先生に「寝たくない」って言っても、「寝なさい」って。だから、頭の中で1,2,3,…と数字をカウントしてました。

マスダ
子どもの頃はどんな子どもでしたか?

アルミネ
小学校の頃は中学のことを勉強していて、中学校の頃は高校のことを勉強していて、学校ではひとりのクラスでした。だから学校ではひとりでいることが多かった。

マスダ
じゃあ、同学年の生徒からは、「あいつだけ」みたいな目で?

アルミネ
そうですね。でも今考えれば、そういう風に見るのは普通だと思います。そういうひとりの時間があったからこそ、今は友だちと一緒にいられることがうれしいし、友だちとの時間を大切にしています。

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AIの研究やプログラミングは、どこにいてもできることです。家族や友だちといる時間を大切にしたくて、この仕事を選びました。いろんな国に旅行しながらでもできることですから。みんなと楽しんだあと、夜に仕事すればいいですから。

マスダ
いや、睡眠は義務じゃないけど、もっと寝てもいいんですよ(笑)。

アルミネ
もっともっとがんばります、まだまだです(笑)。

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後半/AIの反対にある自然の大切さが見えてくる

マスダヒロシ
マスダヒロシ

The U 編集長/グラフィックデザイナー/イラストレーター 1987年埼玉県生まれ。2017年から1年半世界76カ国を旅をして、当たり前は時代と場所でひょいっと変わることを知る。イラストのご依頼お待ちしております。Instagram @hiroshimasud