インタヴューの相手は、千田 翔太郎さん。子どもの頃からエンタメに人生を変えられてきた経験から、今は人の人生を変えるようなエンタメをつくる側へ。
「VRが日常になるのは間違いない」と語る千田さんに、VRのおもしろさについて、現在制作中のコンテンツ『東京クロノス』について、話を聞きました。
前編、後編に分けてお届します。
前編/ひたすらエンタメに人生を変えられてきた
千田 翔太郎1993年岩手県生まれ。MyDearest株式会社のCo-Founder, COO。
マスダ ヒロシ1987年埼玉県生まれ。The U 編集長。イラストレーター。1月中旬から原宿の「ビオ オジヤン カフェ」で個展やります。1年半海外を旅してた。
ファンは制作共犯者
マスダ
『東京クロノス』は、制作のためにクラウドファンディングを使ってましたね。
千田
『東京クロノス』は、当初インディーズゲームとして海外メインで売ろうと思っていました。VRの普及具合を見ると、まずは海外でコアファンをつくった方がいいだろうと。
ただ徳島の大型エンタメイベント「マチ★アソビ」で、はじめて制作スタッフを発表した際に、予想をはるかに超える反響があり、これは日本国内でもやれる、というような手応えをつかみました。
なので、2ヶ月くらい準備して海外向けに「Kickstarter」日本向けに「CAMPFIRE」でクラウドファンディングをやったんです。ありがたいことに、国内外1,662名の方から約1800万円の支援をいただきました。
マスダ
よく集まりましたね。
千田
本当に様々な方々にご支援・応援いただき、誇張抜きで涙が出ました。
開発過程を公開して、出来上がるまでの制作自体をコンテンツにしたいと思って、支援者様には限定グッズやサービスのリターン以外にも、開発に参加いただけるようにしました。
たとえば、「ゲームに入れたいシーンはありますか?」とアンケートをとって「落下シーン見たい」などの意見をもらいながら、ファンの意見をゲームに反映して、一緒にゲームをつくってます。
マスダ
それは、自分の意見が反映されたら、ファンの方にとってうれしいですね。
千田
ぼくたちは、ファンの方を「制作共犯者」って呼んでます。
マスダ
その呼び方いいですね。「The U」も制作共犯者って呼べるファンの方がほしい。
千田
「自分は制作共犯者だ」って言ってくれる方が増えてきていて、本当に嬉しいです。
マスダ
まさに、共犯関係になってるんですね。
千田
実際、社内にプロモーション担当がぼくしかいなくて、本当に「ぼっち」なんですけど、制作共犯者のみなさんが『東京クロノス』をtwitterとかで宣伝してくれるので、本当に共犯者感あります。
VR自体がまだまだニッチなので、プロモーションというより出来上がるストーリー自体をエンタメにしたいですね。
こうしてメンバーが集まった
マスダ
『東京クロノス』の制作陣って、『ソードアート・オンライン』のプロデューサー三木さんなど、すごい豪華ですよね。会社を設立されたのが2016年、まだ2年しか経っていませんが、どうやってこんなメンバーを集めたんですか?
千田
ぼくたちが会社をはじめたタイミング、物語のVRを突き詰めていこうと考えたときに、物語づくりで日本の最高峰にいる方が三木さんでした。「教えを請いたい」というのが頭に浮かんだんです。これは主に(MyDearestの)代表の岸上が考えていました。
岸上が三木さんのサイン会の一番後ろに並んで、「師匠になってください」って頼みこんだんです。
マスダ
えっ、どんな反応だったんですか?
千田
「気持ちわるい、そういうのやめて」って(笑)。
マスダ
まさかの、気持ちわるいからスタート(笑)。
千田
でも、その時にもらえた名刺に連絡をして、プレゼンの機会を頂けたのですが、プレゼンをしたら「やるなら本気でやるよ」って、MyDearestのアドバイザーになっていただけたんです。
マスダ
えっ、初対面で「気持ちわるい」って言った女性が振り向くことなんてないですよ。口説けたなんて、すごいです。いやあ、やってみるもんですね。
千田
ドラマみたいですよね(笑) 三木さんもちょうど独立されたタイミングで、本当に奇跡だと思います。
三木さんにキャラの作り方、ストーリーの作り方、ノウハウを叩き込まれながら、はじめてのVRライトノベル作品『Innocent Forest』をつくると、その作品を観てくれた『楽園追放 -Expelled from Paradise-』という劇場3Dアニメ映画のモーション監督、柏倉さんが会いたいって連絡くれて。
柏倉さんと岸上が意気投合して、「VRでこんな物語表現をやりたい」と言ってもらい、MyDearestに入ってくれました。
マスダ
アウトプットした作品が、出会いを引き寄せたんですね。
千田
そして、その柏倉さんがイラストレーターのLAMさんを猛烈にプッシュしていて、それに制作陣は満場一致でこの人しかいない、という感じでした。ぜったい引き受けてほしいと思いながら、依頼をしたんですが、本当に運良く引き受けてもらえました。当時から人気のイラストレーターさんでしたが、最近のご活躍をみると、このタイミングしかなかったなと。
作家の瀬川さんに関しては偶然と必然ですね。「これは面白い」と岸上がよく言っていた小説の著者が瀬川さんで、たまたま共通の知り合いがいたため、「ぜひとも」とご紹介いただき、一緒にやることになりました。企画から一緒にお話できたのは、本当に幸運でした。
振り返ってみてもメンバーや座組みは、代表の岸上の力が全てで「素直にすごいな」と尊敬しています。
マスダ
「熱量」と「つくった作品」と「タイミング」があって、これだけのメンバーを集められたんですね。
あらためて、『東京クロノス』は、どんな作品なんですか?
千田
「画面の向こう側へいくアドベンチャー」を標榜したVRゲームです。物語は基本テキストベースで進んでいき、選んだ選択肢によってストーリーが分岐していくゲームになります。
物語の舞台は、時が止まった誰もいない渋谷です。この世界に閉じ込められた幼馴染の高校生達が紡ぐ、疑念渦巻くミステリーになっています。プレイ時間は10時間以上を想定していて、よりストーリーに引き込まれる工夫が随所にあります。同時にキャラにもとても愛着をもってもらえるような作品です。2019年初頭に発売予定ですね。
マスダ
ファンと一緒につくっているのも、いいですよね。反響がたのしみだなあ。
今は、頭の中、『東京クロノス』のことで、いっぱいだと思いますが、他にもVRを使ってやってみたいことはありますか?
千田
これは、会社立ち上げ時から創業メンバーの中で合言葉になっているのですが、テクノロジーとエンタメを掛け合わせて、人の行動を促すような、人生を変えるようなプロダクトを作り続けていきたいです。なので、実はVRのみに拘ってるわけではないんです。
『東京クロノス』は、よりストーリーに没入し「共感」を限界まで高めるVRで、キャラクターの感情や、作品メッセージをビシビシ伝えたい。そして行動を促したい。この後開発していくプロダクトも、まだ言えないことが多いのですが、サービスでもコンテンツでも、そういったものを作っていく予定です。
マスダ
千田さん個人ではどうですか?
千田
僕個人としては、まずはとにかく目先の数字としての結果を死に物狂いで出したいというのと、『東京クロノス』に期待してくださっている方々に最高の作品を届けたいという想いのみです。
とにかくすごいクリエイターが集まって、見ていてワクワクするめちゃくちゃ面白いものが出来ています。となると僕の役割ってシンプルで、正当に面白いものが、正当に大きく広がって、正当に評価されるようにしっかりビジネスとして組み立てていくこと。そのための戦略の立案、実行を愚直にやっていきたいです。
もちろん中長期も同時に見ていて、MyDearestを「クリエイターを愛し、愛される企業」にしたいなあと最近強く思っていて。なので、そこに向けて組織づくり含め、何でもやる。最前線で動いていくのが、今のCOOとしての役目かなと思っています。
(千田さんとの対談はこちらでおしまいです。お読みいただき、ありがとうございました。いただいた感想は千田さんにお届けします)
感想を送る/千田さんにエールを送る東京クロノス
「次のアドベンチャーゲームは画面の向こうだ」
クラウドファンディングで国内外1,662人から1800万円以上を集め話題沸騰中!
豪華スタッフキャストが送る、VRミステリーアドベンチャーゲーム。
「日本発、世界でヒットする作品」を目指し、ユーザー(制作共犯者)のみなさまとつくり、育て上げていきます。2019年初旬のリリースに向け、鋭意制作中です。
対応予定デバイスは、Oculus Go, HTC VIVE, Oculus Rift, PSVR。
twitter: https://twitter.com/tokyo_chronos
web: https://tokyochronos.com/index.html