「あなたの親しい友だちはどんな人ですか?」
友だちについて考えることは、自分について考えることと似ている。友だちは、自分の鏡みたいな存在だ。親と子の関係以上に鏡写しかもしれない。親を反面教師にすることはよくあるけど、友だちを反面教師にすることはほとんどない。
友だちが自分の当たり前を無邪気につくっていく。起業している友だちがまわりに多ければ、起業することが特別でなくなる。道端に平気でゴミを捨てる友だちが多ければ、ポイ捨てがわるいことでなくなる。
ぼくは現在、31歳。学生時代からの友だちに子どもができて、会う機会が少なくなっている。その代わりに、旅をきっかけに出合った外国人の友だちと会うことが多い。
中国の友だちと、ポーランドの友だちがそれぞれ日本に来たタイミングでぼくの個展に遊びに来てくれた。ひとりは、ボストンの大学に通い、卒業後シンガポールで働いている。もうひとりは東京を「ホーム」のように感じ、東京とポーランドの首都ワルシャワをキャビンアテンダントとして行ったり来たり。
ふたりと話していると母国ではない場所で働くことが、特別ではなくなっていく。
ハーバード大学医学部のニコラス・クリスタキス教授が行った、おもしろい調査がある。※ この研究は合計1万2067人を対象に、32年間に及ぶ体重の推移を、その人の配偶者、兄弟、友人関係などの社会関係とともに分析したというもの。
調査の結果、「肥満の配偶者がいると、37%の確率で太る」「肥満の兄弟がいると、40%の確率で太る」ということがわかった。
そして、「肥満の友だちがいると、何%の確率で太る」という結果がでたと思いますか?
答えは、「肥満の友だちがいると、57%の確率で太る」です。遺伝よりも強い影響を与えているんです。
特に、親しい友だちに肥満がいると、その影響は強まるみたい。友だちが太っていると、太ることが当たり前になっていくのだ。
友だちが自分に影響を与え、自分が友だちに影響を与えている。
あらためて聞きますね。「あなたの親しい友だちはどんな人ですか?」
今日も読んでくれてありがとうございます。
ぼくは友だちにどんな影響を与えているだろう。
※『君に友だちはいらない』滝本哲史