ひとつよりも、2つがあるほうがうまくいくものがある。手はふたつあったほうがカタチの整った器がつくれる。シャーロック・ホームズにはワトソンがいたほうが物語がおもしろくなる。テニスのサーブには2つボールを準備したほうが試合が滑らかに進む。
耳なんかも2つあったほうが、都合がいい。はて、耳が2つついている理由はなんだろうか?
人間の耳が左右ひとつずつついている理由は、耳に聞こえてくる音源の位置を特定するため。※ 音が左から聞こえてくるのか右なのか、あるいは後ろなのか前なのかを、右と左の耳に届いてくる時間差で判断しているんだって。音が左の耳よりも右の耳に早く届けば、それは右からの音だって判断して、どれくらい右にあるかは脳が瞬間的に判断をしている。
これはきっと自分たちを脅かす敵から身を守るためと、捕食のためだろう。耳があることで敵の位置や、獲物の位置、または仲間の位置も把握することができる。耳がふたつあったから人間を含む動物はここまで生きていくことができた。
生きていくうえで2つあったほうがいいもの。自分の「現在地」と「目的地」もそうかもしれない。2つをわかっていると、進むことができる。地図の上で現在地がわかっていても、どちらに進んでいけばいいかわからなければあてずっぽうに進むことになる。目的地がわかっていても、自分が今どこにいるかがわかっていなければ、一歩も踏み出せない。
若い頃から明確な「目的地」があれば、進みやすいんだけど、生きていくうえでの「目的地」はなかなか見つけられない。だから、「現在地」と「進みたい方向」だけでもわかればいいんじゃないかと思う。自分が置かれている状況と、どんなオトナになりたいか。
これで終わりでもいいんだけど、フクロウの耳は人間よりもはるかに優れている話をおまけで書きます。その理由は、フクロウの耳は左右の大きさがちがっていて、位置も上下に多少ずれているから、上下の位置関係を把握できる。いっぽう人間の耳は左右同じ高さについているため、前後左右の位置は把握できても上下の位置は把握できないのだ。
これって「現在地」と「目的地」でも、平面の地図で見ているか、立体の地図で見ているかで大きく違ってくるねって思った。
今日も読んでくれて、ありがとうございます。
ちなみに人生は、ふたつあったほうがいいかな?
※『音楽はなぜ人を幸せにするのか』みつとみ俊郎