あたらしい年、あなたらしくなくてもいい。

あたらしい年、あなたらしくなくてもいい。

紙に書かれた「あたらしい年」を「あなたらしい年」と目で読んでいた。そんな読み間違いをして、あることに気がついちゃった。「あなたらしい」には「あたらしい」がないことを。「えっ、どういうこと?」って、まあ、まあ、じっくりと読んでくださいな。

「自分らしく(生きろ)」という言葉が、いろんなメディアや広告コミュニケーションで使われている。「自分らしく」はThe Uのテーマ「自由」と近い言葉のように思えるかもしれないけど、ぼくは「自分らしく」という言葉に違和感があって、なるべく使わないようにしていた。

ずっと、その違和感がどこから来るものかわからずにモジモジしていた。でも、読み間違いをして気がついた。「自分らしく」は「過去」を起点にしてできている言葉なんだ。

たとえば、昔っからロングヘアの人が、急にベリーショートにしたら自分らしくないでしょ?昔っからメガネをかけていた人が、急にコンタクトレンズにしたら自分らしくないでしょ?昔っからジャニーズ好きだった人が、急にヒップホップにハマったら、自分らしくないでしょ?

過去の線路から外れてしまったら、自分らしくなくなってしまう。「自分らしく」って、不自由だ。だから、奇をてらうわけでもなく、ぼくは思う。自分らしくなくていい、と。

もちろん、過去は大事です。2018年に考えて育ててきたことが、2019年に花として咲いていく。言うまでもなく、過去があるから、今がある。でも、過去にしばられるのは窮屈だ。

昔っから筋トレを趣味にしていた人が、2019年は編み物をはじめていい。昔っから力士やっていた人が、2019年はバレエダンサーを目指してもいい。昔っからオトコとして生きていた人が、2019年はオンナになってもいい。

筋トレの集中力が、編み物に生きるかもしれない。力士の体幹がバレエに生きるかもしれない。オトコとしての視点がオンナになったとき生きるかもれない。

サザエさんの次週予告、「さーて、来週のサザエさんは」が全然らしくない「ワカメ、金髪」「カツオ、シリコンバレーへ」「フネ、ラップバトル」の3本だったら、きっとおもしろいと思うんです。

来週もまた読んでくださいね。ジャンケーンポン、ウフフフフフ。

あなたらしさより、あなたを大事にしたほうがいい。

感想を送る

マスダヒロシ
マスダヒロシ

The U 編集長/グラフィックデザイナー/イラストレーター 1987年埼玉県生まれ。2017年から1年半世界76カ国を旅をして、当たり前は時代と場所でひょいっと変わることを知る。イラストのご依頼お待ちしております。Instagram @hiroshimasud