アルメニア人のアルミネちゃん。アルミネという名前は「アルメニアの女の子」という意味だ。しかし、「女の子」という軽やかでかよわいイメージとは異なり、アルミネちゃんの言葉は重くて、強い。
「人生は、どう考えたっておもしろい」「自分に嘘をつかないこと。自分に嘘をついて、未来の自分が『あのとき、ああすればよかった』なんて言ったら、わたしクレイジーになる」「目は無料だ」2年前に旅しているときに出合った彼女の言葉やエネルギーは今でも身体に残っている。
そんなアルミネちゃんが日本に来ているということで、インタヴューをしました。全2回の後半です。
前半/ひとりの時間があったからこそ、今は友だちと一緒にいられることがうれしい
AIT研究所の研究助手。2011年からアルメニア国際ロボティクスチームのバイオエンジニアとプログラマー。
1987年埼玉県生まれ。1年半海外を旅しtあとに「The U」をはじめる。グラフィックデザイナー・イラストレーター。Instagram @hiroshimasud
人間が自分を発展させるために、もっと時間を使うことができたらいい
マスダ
AI(人工知能)の研究について教えてください。
アルミネ
AIを毎日の暮らしのなかに入れるために研究をしています。AIの中身、コーディングとコーディングのモデルを考えています。
マスダ
AIの研究でおもしろいなあと思ったことはありましたか?
アルミネ
わたしたちの考えてるAIのなかでおもしろかったのは、AIが「嫌い」と言えることでした。
マスダ
AIが「嫌い」を主張できるんですね。
アルミネ
はい、でも「好き」とは言えないんです。たとえば好きな色を選択してもらおうとすると、この色は嫌いだから、この色がいいと言うんです。でも、「好き」がないと「嫌い」はないはずなんです。
マスダ
「嫌い」は言えるけど、「好き」は言えない。でも「嫌い」と思えるのは「好き」があるから。おもしろいですね。なぜなんでしょう?
アルミネ
なぜこうなのかはまだわかりません。おもしろいけど、研究者なのでなぜこうなのか理由を明かさなければなりません。今はまだ調べてる段階です。
マスダ
アルミネちゃんは、AIを使ってどんな未来ができたらいいと思いますか?
アルミネ
人間が自分を発展させるために、もっと時間を使うことができたらいいなあと思います。機械に任せるられることはやらず、自分に集中することが大事だと思います。しかし、仕事がなくなる可能性も高いですから、それは簡単なことではありません。
マスダ
人間の仕事がなくなるとAIの発展を危惧している人もいますよね。
アルミネ
それはどの時代でも起こっていることですが、一番大事なのは昔の失敗から学んで、どうしたらショックがなく機械の時代に変わるのか考えることだと思います。機械のルール、機械を使う目的、人間とAIの給料のこと。給料は必要ですからね。
マスダ
アルミネちゃんは歴史にくわしいけど、歴史から学べる失敗の本質ってのは、どんなものだろう?
アルミネ
うーん、他の人の意見を聞かないということでしょうか。もちろん自分を信じることは必要ですけど、他の人の意見を無視して自分だけが正しいと思ってるのは危ないです。他の失敗ってあまりありません。
それはAIに反対の人たちの気持ちを聞いて、わからなければなりません。それを聞くと、どんな問題があるか、何を心配しているかがわかります。機械は人間と同じで破壊することもできます。でも、そうならない道に向けて準備することはできます。
AIの反対にある自然の大切さが見えてくる
マスダ
そもそも、大学でAIの研究をしようと思ったのはなぜだったんですか?
アルミネ
AIがこれから発展するとわかっていましたから、その世界の近くにいたかったんです。時代がAIに向かっているのは90%ですから、実際に100%そうなったときに、どうしてそういう世界になっているのか理解したかったんです。
マスダ
じゃあ、アルミネちゃんのやりたいことの本質は世界を理解すること?
アルミネ
はい、世界を知りたいです。AIとつながっている道と、自然と共に生きていく道を知りたいです。
マスダ
AIと自然というと、一見離れているように思えますが。
アルミネ
そうですね。AIの研究やプログラミングの仕事をしているわたしにとって、自然は離れているかもしれません。でも自然と離れているように見えるAIの研究をしているからこそ、反対にある自然の大切さが見えてくるんです。人は自然とつながっています。自然がなくなってはいけません。
マスダ
そこにないからこそ見えてくるものがあるんですね。
アルミネ
はい。世界は知らないことばかりですから、もっともっと知りたいです。
マスダ
久しぶりに会えてうれしかったです。ありがとうございます。
アルミネ
いえいえ、こちらこそ。