マラウイで農業ビジネスをはじめてみる タムラノブオ 前編

マラウイで農業ビジネスをはじめてみる タムラノブオ 前編

インタヴューの相手は、アフリカ・マラウイ在住、一級建築士のタムラさん。「アフリカの暖かい心(The Warm Heart of Africa)」とも呼ばれるフレンドリーな国マラウイでの暮らしについて、マラウイと日本の違いについて、話を聞きました。

アフリカ マラウイ 野菜

「やりたいことがなくてもいい」と言うタムラさん。やわらかく生きるヒントが詰まっています。

前編、後編に分けてお届します。
後編/「やりたいことがなくてもいい」

タムラ ノブオ建築関連のフリーランス。マラウイでアグリビジネスの現地法人を起業しました。首都リロングウェでゲストハウスの運営もしてます。

マスダ ヒロシ1987年埼玉県生まれ。The U 編集長。グラフィックデザイナー。イラストレーター。世界周遊中にマラウイを訪ねる。

楽しそうだからマラウイに来た

マスダ
お久しぶりです。約1年ぶりですね。

タムラ
お久しぶりです。ここ(東京)で会うと東京の人ですね。

マスダ
いやいや(笑)。(埼玉県民です)

タムラさんとお会いしたのは、タムラさんがマラウイでゲストハウスをオープンした日でした。ぼくが客として訪ねたときは、まだ会社の登記をやっていて、あのときは、まだなにをやっていこうか決まっていませんでしたね。

アフリカ マラウイ ゲストハウス
マラウイでは珍しいWi-Fiの使えるゲストハウス

マラウイでは、今どんなことをやっているんですか?

タムラ
最近は、マラウイの農家さんから野菜を買って、(マラウイの首都)リロングウェ市内のスーパーに売っています。スモールビジネスをいくつかやってみて、よさそうなものを伸ばしていこうと。

マスダ
他には、どんなスモールビジネスをやってみたんですか?

タムラ
タンザニアから服を輸入してみたり、日本からパソコンを輸入してみたりとか。野菜も今、試している最中なんです。

アフリカ マラウイ 野菜

マスダ
どうして、野菜のビジネスを?

タムラ
マラウイの農家は安く野菜を売っていて、マラウイのスーパーは農家の5倍近く高い価格で売っているんです。日本じゃ考えられないですよね。

マスダ
そんなに高くなるんですね。

タムラ
マラウイの物流が原因です。スーパーに商品として並ぶまでに、何人もの人が関わっていて高くなっているんです。それをぼくたちだけが関わることでシンプルに流通できればいいなあと思ってて。マラウイの8割近くの人は農家なので、ぼくたちでお役に立てるかなと。

アフリカ マラウイ 野菜

マスダ
そもそも、なぜマラウイに行ったのか聞いていいですか?

タムラ
うーん、そんな理由はなくて、、、アフリカはこれから成長するし、楽しそうだからですかね。

マスダ
じゃあ、建築にはこだわっていないんですか?

タムラ
建築の仕事もやろうとはしてるんですけど、資格もお金も必要で、今は野菜をビジネスにしてる感じです。

なんでマラウイの人はやさしい?

マスダ
マラウイと日本でどんな違いを感じますか?

タムラ
何から何まで違うと思いますけど、マラウイはやさしい人が多いですね。

アフリカ マラウイ 野菜
「オレのこと撮ってー」とフレンドリーに話しかけてきた服を売っているお兄さん

マスダ
マラウイは人がやさしいから「The Warm Heart of Africa」なんてキャッチコピーがついてますもんね。マラウイのミニバスで隣に座った青年も、ぼくは特になにもしていないのに「君のことを誇りに思うよ」なんて言ってくれました(笑)。

なんで、あんなに、やさしいんだろう?

タムラ
なんでなんすかねー。

マスダ
うーん、「The Warm Heart of Africa」っていう言葉の影響もあるんじゃないですか?言葉が自分たちを律してるというか。

タムラ
マラウイは歴史的に植民地化されていたけど、他の国とは違って内戦がなかったんで、それも影響しているかもしれないですね。

アフリカ マラウイ ファブリック
「Hello friend、写真とってー」と陽気に話しかけてきた彼。なんと、砂浜に山をつくっていた囚人さん。

マスダ
だからか、アフリカのなかでは平和な国とも言われてますね。マラウイでおもしろいと思う文化はありますか?

タムラ
助け合いの文化ですね。「食べ物をほしい」と言ったら、食べ物をくれる。「お金を貸して」と言ったら、お金を貸してくれる。

マスダ
えっ?お金まで?

タムラ
はい、だからこっちも断りにくいです。マラウイには国民保険がないので、国民同士が助け合ってます。曖昧でルールのない助け合いが、セーフティネットになってるんです。

失敗はかっこいい!?

マスダ
じっさいお金を貸したこともありますか?

タムラ
お金を貸したというか、、、道端の小売の人に、つけ払いで玉ねぎを売ったんですけど、ぜんぜんお金が返ってきてないですね(笑)。「お金を払って」って言っても、「今はないから仕方ないだろ」って言われて。最初はつけ払いを期待しすぎて、まだ30万から40万円返ってきてないんじゃないでしょうか(笑)。

マスダ
それは、学びですね。他にもこれは失敗だったなあってことありますか?

タムラ
もう失敗だらけです。失敗はあまり言いたくないですね。

マスダ
ぼくは、タムラさんがTwitterで書いたいたことで、いいなあと思った言葉があるんです。

これ、すごくいいなあって。

タムラ
正直言うと、行動を繰り返すうちに、今は違う気持ちになっているんです。失敗を重ねたことで臆病になっているのかもしれません。もっと言うと、失敗は各企業のデータベースなので公開したくないというのもあるかもしれません。失敗って、かっこわるいですしね。

マスダ
そうですか?失敗はかっこいいですよ。犬は歩かなければ棒に当たらないし、猿も木に登らなければ落ちないし、弘法だって書かなければ筆を誤らない。行動する人だけが、失敗できるんです。だから、タムラさんの失敗もかっこいいと、ぼくは思いますよ。

タムラ
そうですか。

マスダ
アメリカの採用面接では面接官が「あなたはどんな失敗をしてきましたか?」って聞くそうです。その失敗が大きなものほど、高い評価を得るそうなんですよ。それは、行動していない人は、失敗もできないから。ぼくはこの評価の仕方が好きなんです。

タムラ
それでも、失敗はあまり言いたくないですね(笑)。

後編/「やりたいことがなくてもいい」

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マスダヒロシ
マスダヒロシ

The U 編集長/グラフィックデザイナー/イラストレーター 1987年埼玉県生まれ。2017年から1年半世界76カ国を旅をして、当たり前は時代と場所でひょいっと変わることを知る。イラストのご依頼お待ちしております。Instagram @hiroshimasud