いい時間をつくり合う時代

いい時間をつくり合う時代

ウェブマガジンのライバルは、他のウェブマガジンじゃない。クルマのライバルは他のクルマじゃない。雑誌のライバルは他の雑誌じゃない。

むかしのように、同業他社よりもいいものをつくればよかった、わかりやすい時代は足音を立てずに去っていった。

他の人のつくるウェブマガジンよりも、ちょっといいウェブマガジンをつくったとしても、見てもらえるかわからない。ウェブマガジンのライバルが仔犬なんてこともあるなあ。

人がなにを求めているのか?人は何でそれを買ったり、そこへ行ったりするのだろうか?ぼくなりに考えてみて、梅干しの種サイズの小さな答えがでました。

「あっ、人は、いい時間を過ごしたいんだ」って。

なにを買うか。どこへ行くか。だれといるか。

人は、いい時間を過ごせると思うものを、無意識に選択してるんだね。

ワンピースを買っているようで、それはいい時間を買っている。ディズニーランドに行くのも、いい時間をもらうため。友だちと会うのだって、それがいい時間になるから。

人の時間は限られている。その時間をなにに使うかの選択肢が多くなっている今の時代だからこそ、ライバルが複雑になっている。

たとえば、合コンに参加したときに、いいなあと思う女性が目の前にいるとしよう。男性のライバルは、となりのイケメンじゃない。かも。

その女性の家にいるウーパールーパーかも。その女性が邪念をなくすためにやっている写経かも。シャワー室の完備された寝台列車かも。

いい時間をくれるものを選んでいるんだ。

その男性ができるのは、ウーパールーパーに近い顔に整形することでもなく、住職になることでもなく、寝台列車を買うことでもない。好きな相手にとって、いい時間をつくること。

いい時間をつくること。いい時間は相手がよろこんでくれたり、いい気持ちになる時間のこと。

そのためには、ライバルと思えるものとコラボレーションしたっていいよね。「時間の奪い合い」じゃなくて、いっしょに「いい時間のつくり合い」。

ここまで読んでくれてありがとうございます。「時は金なり(Time is money)」なんて言葉があるけど、「Time is life」時はいのちだと思う。そんな大切ないのちのひとときに、「The U」に来てくれて感謝です。

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マスダヒロシ
マスダヒロシ

The U 編集長/グラフィックデザイナー/イラストレーター 1987年埼玉県生まれ。2017年から1年半世界76カ国を旅をして、当たり前は時代と場所でひょいっと変わることを知る。イラストのご依頼お待ちしております。Instagram @hiroshimasud